英会話できるようになりたくてワーキングホリデーでオーストラリアへ
私はどうしても英語が話せるようになりたいと思い、
1997年5月から1998年5月の1年間ワーキングホリデービザでオーストラリアのシドニーに行き、
4週間だけ語学学校に通った後アルバイトしながら生活していました。
「一人でオーストラリアで生活していれば、きっとペラペラに英語が話せるようになるはず。」
そう強く思って渡豪したのですが、
最初からうまく英語が話せないので相手に失礼になってはいけないと思い、
ある文章を暗記して、それだけはいつでも言えるように準備していました。
それは
"I can't speak Englilsh fluently."
「私は流暢に英語を話すことが出来ません。」という意味です。
最初のうちはこれで安心。
慣れるまではこれで乗り切ろうと思い、
買い物をする時など現地の人にこちらから話しかけ、うまく内容が通じなくなった時に、
"Sorry, I can't speak Englilsh fluently."
パブでビールを飲んでいる時、
酔った客から話しかけられた時なども逃げることなくなんとか会話し、
うまく内容が通じなくなった時に、
"Aah, Sorry, I can't speak Englilsh fluently."
と、これさえ言っておけば何でも丸くおさまる魔法の言葉のように使っていました。
まさに伝家の宝刀。
これで相手を不快にさせることはない。
私はこの街に受け入れられたい。そして英語をペラペラに話せるようになりたい・・・
そう思って日々一生懸命頑張ってました。
そんなある日、パブでビールを飲んでいる時、
隣に座っていた白人男性がラグビーをネタに話しかけてきたので、
ラグビーに詳しくない私はいつもの流れで
"Aah, Sorry, I can't speak Englilsh fluently."
と伝家の宝刀を抜くと、
"What? You speak English fluently."(何言ってるんだ?おまえ、流暢に英語を話してるぞ。)
私は最初、何が起こったのか、何を言われたのか理解できませんでした。
でもその直後、自分の顔がものすごいスピードで熱くなる(赤く染まる)のを感じました。
"I can't speak Englilsh fluently."
と何度も言い続けていたので、そのフレーズだけは流暢に言えるようになっていたのです。
いつの間にか「私は流暢に話すことが出来ません」と英語で流暢に話すという、
なんともおかしなことになっていました。
相手の男性はすぐに察して、
"No worries. That's OK. " (いいんだよ、問題ないよ)
とオージーイングィッシュで返してくれました。
私は "Aah, Ah, I am not good at Rugby footbool."(ラグビーには詳しくないんだ)と答え、
白人男性は大きくうなずきながら "Oh, I see." (あぁ、そうか)
その後、つっかえながらではありましたが、別の話題でなんとか英会話できていました。
"I can't speak Englilsh fluently."
という保険があったせいで、
あまり積極的ではない性格の私でもどんどんチャレンジできていたのです。
そしていつの間にか拙いながらも英語で話すことができるようになっていたんですね。
たどたどしい英語だけど意思は伝えられる。
自信が付いたので
"I can't speak Englilsh fluently."
をあまり使わずに最後まで英語で話しきろうと粘り強く会話していました。
そんなことを繰り返していたら、1年も経たないうちに日常英会話で困ることがなくなりました。
私の英語の勉強法は、スマートではなかったし勘違いも多かったけど、
今では初心者がブチ当たる英語の壁が懐かしくもあります。