農業関係の国際会議で通訳者が笑える勘違いをしていた!

以前、通訳をやっている友達からこんな話を聞きました。

 

 

ある農業関係の会議でのこと。

 

東北地方の農村の現状について現場の意見を聞きたいということで、

 

農家の方に出席していただいた。

 

そして農業の現状をうかがったところ、

 

「今の若者は農業をやりたがらない。」

 

「この村で農業をやっているのは私だけ。」

 

「年齢を重ねるにつれ体力が心配になる。」

 

「小規模なので収入が少なく生活が厳しい。」

 

次々と問題点を挙げてくださった。

 

 

 

この会議には海外から日本の農村を視察に来た方もいたので

 

同時通訳者同席で進められた。

 

 

 

 

この同時通訳者は日本人ではなく海外から来た人。

 

日本に詳しく非常に流暢な日本語を話す。

 

 

 

 

農家の方も、この通訳のうまさに安心したのか、

 

どんどん熱くなって現状の厳しさを訴える。

 

 

 

 

会議は非常に内容の濃いものになり白熱してきたが、

 

途中から何だかちょっとおかしい。

 

 

 

 

農家の方が、「ちゃんと訳してくれ」「嘘は言わないでくれ」

 

と一触即発の状態。

 

 

農家の方が、

 

「この村で農業をやっているのは私だけ。」

 

と言っているのに、通訳は

 

「この村で農業をやっているのは2人だけ。」

 

と訳す。

 

 

 

 

農家が何度も「私だけ」と言っているのに、

 

通訳が何度も「2人だけ」と訳す。

 

 

 

そのやり取りを聞いていた日本人参加者の一人が

 

重要なポイントに気づいた!

 

 

 

そしてたどたどしく、

 

"He said Wadashi. It means Watashi.

 

It's not Mr.Wada. It's Tohoku accent..."

 

 

と通訳の方に言ったのです!

 

 

 

農家の方は自分のことを「私」と言っていたのですが、

 

東北訛りだったので「わだし」となっていて、

 

通訳者は「和田氏」と言っていると思ったんですね。

 

 

 

そして会議に出席しているご本人がいるので

 

「合計2人」と通訳していたのです。

 

 

 

誤解が解けて会場は和やかな雰囲気になり、

 

会議は滞りなく進んでいったそうです。

 

 

 

 

この件で何が言いたいのかというと、

 

「実力があるプロの通訳でもミスすることがある。」

 

なんてことではありません。

 

 

猿も木から落ちることがあるのは誰でも知っていること。

 

 

 

声を大にして言いたいのは、

 

「状況に気づいたある一人が、

 

拙い英語ではあったが勇気を持ってそれを説明したから

 

『プロが犯したミス』が『現場を和ますきっかけ』

 

に変わったということ」

 

 

 

プロの通訳者が仕事で拙い日本人英語に救われたのです!

 

 

もちろんこのことは通訳者にとって恥でも何でもありません。

 

日本語が難しいというだけのこと。

 

 

 

言葉は国や地域、時代や誰が使うかなどによって

 

どんどん変化していきます。

 

 

言葉を身につけるのに『完了』などないのです。

 

 

『失敗』を誰もが楽しめる笑い話にしたり、

 

『未熟な英語』で国際会議中に人助けをしたり、

 

外国語と関わると面白いことがたくさん出てきます。

 

 

 

学問の英語にアレルギーがあっても、

 

英語により日常が少し楽しくなることを

 

感じていただけたらと思います。

 

 

 

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